橋脚表面に溝を刻んで主鉄筋を埋設、耐震補強を見送られてきたRC橋脚に有効
鉄筋コンクリート橋脚の耐震補強工法は、当初「既設道路橋の耐震補強に関する参考資料(社団法人日本道路協会)」に示された’曲げ耐力制御式鋼板巻立て工法’ならびに’鉄筋コンクリート巻立て工法’が採用され、現在でもこれらが主流となっています。
その中でも一般的な工法である’鉄筋コンクリート巻立て工法’がありますが、補強による橋脚躯体断面の増加が大きくなり、河積阻害率や建築限界等の構造寸法上の制限、重量増加に伴う基礎構造及び地盤への負担増等で、耐震補強を見送られることがありました。
これに対して、鉄筋埋設式PCM(ポリマーセメントモルタル)巻立て補強工法は、既設のコンクリート表面に溝切りを施し補強鉄筋を埋設することによって巻立て増厚を大幅に軽減した工法で、鉄筋コンクリート巻立て工法の1/8程度の巻立て厚で同等の補強ができ、構造上の制約を懸念するケースに有用です。
AT−P工法 概要図

■ AT−P工法 主筋埋込み方式PCM巻立て橋脚補強
工法概要
本工法は、RC巻立て工法や従来PCM巻立て工法の補強部巻立て厚を極度に抑えた橋脚耐震補強工法です。
従来は、既設橋脚躯体周囲に設置していた補強軸方向鉄筋を、躯体に施した溝切り部に埋設し、空隙部にエポキシ樹脂を充填して定着させた後、既設橋脚躯体表面に帯鉄筋を配置し、ひび割れ抑制のためビニロン繊維を混入したポリマーセメントモルタルを巻立てる工法です。
工法の特徴
- 巻立て増厚がRC巻立て工法の約1/8、従来PCM巻立て工法の約1/2以下に抑えられます。
- 河川中の橋脚補強における河積阻害率がほとんど増加しません。
- 材料単価の高いポリマーセメントモルタルの使用が減ることで、大幅にコストを縮減できます。
- 既設コンクリート内に直接補強鉄筋を埋設することによりコンクリート断面を増加させることなく、確実に耐荷力向上を図ることができます。
- 補強による重量増加を大幅に抑えることにより基礎構造及び地盤への負担を軽減できます。

■ AT−PD工法 主筋埋設型PCM巻立て段落し部補強
工法概要
鉄筋埋設型PCM巻立て工法は、RC橋脚の段落し部のみの補強工法としても適用することができます。段落し部補強必要範囲に切削溝を設け、補強鉄筋を埋設定着した後帯鉄筋を配置してポリマーセメントモルタルで巻立てる工法です。
工法の特徴
- 補強鉄筋を直接既設コンクリート内に定着することにより、確実な補強効果が得られます。
- ポリマーセメントモルタルで巻立てるため、巻立て面の強度は強く、流木の衝突や流水による磨耗の影響を受ける河川中の補強に適しています。
- 巻立てによる増厚は30mm程度(帯鉄筋D16の場合)であり、断面増厚による構造的な影響はほとんど生じません。
- 従来から用いられている炭素繊維シート接着による補強工法との工費を比較すると、約20%※以上のコストダウンが得られます。(※CFRP2層と想定した場合)

施工イメージ
水門・頭首工の補強にも適用可能
技術の適用範囲
- 張出式、壁式、ラーメン式などコンクリート橋脚全般
- 水門および頭首工の堰柱、底版の耐震補強
- ボックスカルバートの耐震補強
- その他